賃貸住宅新聞で連載された記事をWEBでご紹介します!
▼ 目 次
- 1. はじめの一歩 アパート・マンションの「掃き掃除」を極める
- 2. 第二歩 「拭き掃除」と「掃き掃除」を極める
- 3. 第三歩 一本あれば何でもできる お掃除の如意棒「ワンタッチハンドル」
- 4. 第四歩 水栓とホースをワンタッチで連結し、水洗いをいつでもカンタンに
- 5. 第五歩 夏の大敵、雑草。装備を整え、除草剤とねじり鎌で対処する
- 6. 第六歩 面倒な植木の手入れは電動工具でザクザク解決
- 7. 第七歩 腰袋は携帯する道具箱。装着するだけで時間のロスを大幅カット
- 8. 第八歩 順番を定めるだけで効率UP。3つのルールでムラ・ムダをなくす
- 9. 第九歩 最近よく目にする高圧洗浄機 共用部清掃でどのように生かせるか
- 10. 第十歩 あれば便利な洗剤 落ちなかった汚れは洗剤でこう落とす
- 11. 第十一歩 エントランスは建物の顔 キレイに磨き爽やかな状態で皆を迎えましょう
- 12. 最後の一歩(第十二歩)早期発見がダメージを最小にとどめる 掃除をするからこそ気づく建物の異常
1. はじめの一歩 アパート・マンションの「掃き掃除」を極める
共用部のような広い場所を掃くには2本のホウキを使い分けるのがコツ。
3本目のホウキを加えればプロの仕上がりに。
清爽術初回の今回は、アパート・マンション清掃の基本のキ、掃き掃除について解説します。
掃き方を変えれば、短時間でキレイに
共用部のお掃除で苦労されていませんか?
通路、階段、駐輪場、駐車場、そしてゴミ置き場…。
たとえ小さな物件であっても、共用スペースの掃除はそれなりに時間がかかるもの。
なかでも手間がかかるのが掃き掃除です。
掃き掃除のコツ。それはズバリ、2つの動きを分けて行うことです。
ひとつは、ゴミやチリを「集める」動き。もうひとつは集めたゴミを「掃き取る」動き。
その際に使用するホウキは2本。
ゴミを集めるための自在ホウキと、集めたゴミをチリトリに掃き取るための掃き取りホウキです。
通路を掃く場合は、まず自在ホウキを使用します(穂先幅45センチのもの)。
ドア側から反対の手すり壁側に向けて、ゴミや砂ボコリを掃き寄せていきます。
手すり壁にそって8センチ程度の帯状に掃き寄せていくのがポイントです。
次に、片側に掃き集めたゴミをチリトリに取っていきます。
このときに使用するのは掃き取りホウキ。
片手で自由に扱えるサイズ・重さのものがおすすめです。
シダやシュロなどの天然ホウキよりも、耐久性があり、穂先に適度な硬さ(コシ)がある化繊ホウキのほうが共用部清掃には向いています。
掃き取るときのポイントは、撫でるように掃くのではく、ホウキの穂先を床に当てるように掃くこと。
しなった穂先の反発力を利用して、ゴミをチリトリにはたき込んでいきます。
慣れるまでは、2本のホウキを使い分けることが面倒に感じるかもしれません。
ですがそれぞれのホウキの特性をうまく利用し、「集める」「掃き取る」を交互に行うことで、作業負担が軽減され、短時間でキレイに仕上げることが可能になります。
さらに「サッシホウキ」でプロの仕上りに
美観アップのためにもうひとつおすすめしたいのがサッシホウキ。
ホウキでは掃ききれない狭い場所や四隅を掃くのに用います。
具体的には、階段の溝や排水口の掃き掃除に。
このホウキで細かな箇所まで逃さず掃くことで仕上がりにもうひとつ差がつきます。
なお、このサッシホウキは、掻き出しヘラとしても使える優れもの。
排水口まわりに固まった土砂や髪の毛を取るのに力を発揮します。
疲労をため込まないためにも道具の厳選を
ホウキとともに慎重に選びたいのがチリトリです。
種類も大きさも様々なものがありますが、共用部清掃では画像のような文化チリトリがおすすめ。
本体がプラスチック製であるのと、持ち手がL字になっているのが主な特徴です。
このチリトリは使えば使うほど機能性の高さを実感します。
いい道具は清掃の効率を高めます。
そしていい道具は使っていても疲れません。
掃除は根気。いい道具は根気を支えます。
ぜひお試しを!
ここがポイント
- 1.「集める」「掃き取る」を必ず交互に行いましょう
- 2.2種類のホウキを使い分けましょう
- 3.サッシホウキで隅々までしっかり仕上げましょう
2.第二歩「拭き掃除」と「掃き掃除」を極める
第2回目の今回は、拭き掃除とホコリ払いについて解説します。
基本の水拭きとから拭きに加え、帯電ダスターも使い分けるのがコツ。
化学繊維の利点を生かすことで、効率よくプロの仕上りになります。
マイクロファイバークロスを上手に使う
ご自宅でお掃除をするとき、拭き掃除には何を使いますか?
雑巾でしょうか? 使い古しのタオルでしょうか?
砂ボコが多い共用部分の拭き掃除におススメなのはズバリ、マイクロファイバークロスです。
今ではどこでも手軽な値段で手に入るマイクロファイバークロスですが、使いやすいのは、長方形(約50×30センチ)の形をしたやや厚手のもの。
折りたたんだときに手のひらの大きさにまとまるサイズが理想的です。
マイクロファイバーの特長は大きく2つ。
ひとつは汚れをかき取る力に優れていること。
もうひとつは、拭き取った汚れを簡単に洗い流せること。
つまり、汚れのキャッチ&リリースが容易で、使い勝手がいいのがその魅力です。
拭き掃除の基本は、水拭きをしたら必ずから拭きで仕上げるようにすること。
特に、砂ボコリがたまりやすい笠木などを水拭きのみで終わらせると、乾いたときに拭きムラ、拭きスジが白くくっきり残ります。
画像のように水拭き(左手)の後をから拭き(右手)で追いかけながら拭いていくと、効率よくキレイに仕上がります。
なお、クロスは2回丁寧に折り畳んで使用するのがポイント【画像参照】。
そうすることで1枚のクロスを8面に分けて、最大限使い切ることができます。
畳んで使用したクロスの各面が汚れたら、手間を惜しまずしっかり洗うようにします。
汚れたまま使いつづけると、クロスについた汚れを拡散させることにもなりかねません。
拭き掃除のゴールデンゾーンは目線の下
共用部の拭き掃除で重視するポイント。それは「目線の少し下にある水平面」です
手すり、笠木、窓台、インターフォン、エアコン室外機等々。
これらが拭き掃除のゴールデンゾーンです。
すべてを水拭き、から拭きしていくと時間もかかりますので、汚れの程度によってはから拭きのみで仕上げるようにします。
なお、水平面の拭き掃除が重要とはいえ、垂直面や天井まわりも無視できません。
各戸のドア、共用灯、メーター類などについても汚れの状態を常にチェックし、随時清掃をしていく必要があります。
とはいえ、これら垂直面や高所部をひとつひとつ拭き上げていくのは非現実的です。
時間がいくらあっても足りません。そこでもうひとつおススメなのが、画像で使用している帯電ダスターです。
軽度な砂ボコリなら帯電ダスター一本で
帯電ダスターという難しい名称で呼んでいますが、一言でいえばハタキです。
通常のハタキと違うのは毛の部分に静電気を帯びさせて使用する点。
静電気の力を利用して効率よくホコリを吸着させることができます。
サイズは数種類ありますが、45センチ位のものがパフォーマンス性に優れます。
軽度な砂ボコリであれば、クロスを使わずこれ一本で共用部全体を爽やかに仕上げられます。
また、延長ハンドルを組み合わせれば、画像のような届きにくい高所部分のホコリ払い、クモの巣払いも容易にできるようになります。
ここがポイント
- 1.マイクロファイバークロスを最大限活用しましょう
- 2.優先順位は、水平面→垂直面→高所部
- 3.帯電ダスターを活用し効率アップを図りましょう
3.第三歩 一本あれば何でもできる お掃除の如意棒「ワンタッチハンドル」
第3回目の今回は、『ワンタッチハンドル』を活用する清爽術をご紹介。
掃除道具は数をそろえればいいというわけではありません。道具はコンパクトにまとめ、効率よくキレイにしましょう。
省スペース・省コストの便利なハンドル
アパートやマンションの巡回・清掃を行っていてよく目にするもののひとつに、ゴミ置き場や階段下などに置かれている清掃道具があります。
職業柄、どのような道具が使われているのかチェックをしてしまうのですが、よく見るのは、画像右のような道具類です。
アパート・マンションの床掃除に必須となるのは、ホウキ、チリトリ、モップ、デッキブラシ、水切りドライヤーといったものですが、ワンタッチハンドルを用いることで、これらの道具をコンパクトにまとめることができます。【画像下】
ワンタッチハンドルの先端はT字型のクリップになっていて、自在ホウキをはじめ、様々な清掃道具を装着できます。
装着する先端道具が損耗した場合もその部分のみ交換すればいいので経済的。
省スペース・省コストのおすすめツールです。
なお、このワンタッチハンドルには伸縮式のものもあり、長さを1mから1・6mまで調節できます【画像右】。
通路や階段など使用する場所によって適当な長さに伸縮できるので、負担の軽減、効率アップを図れます。
ノンスリップ床に効果大 極細繊維ブラシ
ハンドルに取り付けられる先端道具には様々なものがありますが、なかでもオススメしたいのが、一般にはあまり知られていない極細繊維のブラシ【画像右】です。
共用部の多くの床にはノンスリップ加工がほどこされたシートやタイルが敷かれていますが、その表面には小さな凹凸があります。
これにより床表面がすべりにくくなっているのですが、困るのは凹の部分に汚れがたまってしまうこと。
デッキブラシをかけても凹のくぼみのほうがブラシの毛先よりも小さい(狭い)ため、たまった汚れをかきだせません。
ですが毛先が凹よりも細く設計された極細繊維のブラシを使用すれば、見違えるほど仕上りに差がつきます。
(極細繊維のブラシにはメーカーごとにいくつかの種類が発売されていますが、画像は山崎産業の「セラスクレイプパット250」という商品)
梅雨の時季は床洗浄を行うもよし
ワンタッチハンドルと先端道具の組み合わせで床清掃に必要な作業のほとんどを行うことができます。
まず、基本である掃き掃除。自在ホウキで表面にたまった砂ぼこりや土砂を掃き集める作業。
次に水拭き。
水を含ませたモップで細かなチリ・ホコリを吸着させる作業。
そして、汚れた床の洗浄。
極細繊維ブラシやデッキブラシを使ってはりついた汚れを洗い流す作業。
雨の日が多い梅雨の時季は、掃き掃除をあきらめ、床の水洗いをするのもひとつです。水洗いのステップは大きく5つ。
床表面への散水→ブラシがけ→すすぎ洗い→水切り→モップがけ、となります。
使用する先端道具は、極細繊維ブラシ→水切りドライヤー【画像上】(フロアスクイジー、カッパギ、などとも呼びます)→モップの3種類。
途中で洗剤を加えることで汚れ落ちのスピード・効果は高まりますが、土砂などの自然汚れが多い共用床では、必ずしも洗剤を使用する必要はありません。
用途も広く、伸縮自在のお掃除の「如意棒」を使って効率アップを目指しましょう
ここがポイント
- 1.ワンタッチハンドルで省スペース・省コストを図りましょう
- 2.凹凸のある床には極細繊維ブラシを使用しましょう
- 3.梅雨の時季は散水・洗浄も選択のひとつと考えましょう
4.第四歩 水栓とホースをワンタッチで連結し、水洗いをいつでもカンタンに
第4回目の今回は『水栓とホース』を活用した清爽術をご紹介します。雨が多く掃き掃除も難しい梅雨のシーズン。
水洗いで効率アップ・仕上がりアップを目指しましょう。
蛇口やホースにはワンタッチの連結具を
夏本番を目前に控えた梅雨のシーズン。
悩まされるのがベタつく汗…。仕事の後のシャワーが欠かせません。
アパートやマンションの共用部清掃でもまた、シャワーを使えば建物各部を爽やかに仕上げることができます。その一番はゴミ置き場やゴミストッカー。
飲料や生ゴミからでる汚れはその臭いとともにできれば水で洗い流したいものです。
ゴミ置き場に設置されている水道栓でよく目にするのが、画像右のように蛇口とホースが針金などで固定されているケースです。
このような場合ホースが劣化する原因にもなりますので、蛇口とホースにはそれぞれ連結具を装着し、ワンタッチで簡単に取り外せるようにしておくことをおすすめします【画像右】。
ホースの先端には散水ノズルを取り付けますが、使い勝手がいいのは水の出方を変えることができるもの。
ノズル先端を回すことで、シャワー→拡散→ストレートといった具合に数段階に切り替えられるものを使用します。
ゴミストッカーの清掃におすすめのツール
ゴミ置き場の清掃の基本はデッキブラシでの水洗いです。
床一面に水を撒いてからしばらく時間をおき、汚れが浮いてきたところで力を入れてブラシをかけていきます。
ゴミストッカーの場合も、水を撒いてブラシでこするという点ではゴミ置き場の清掃と同じですが、隅々まで効率よくキレイにできる道具として強くおすすめしたいのが、「ハケ」です。
画像のハケは本来塗装用に作られたものですが、汚れ落としにも力を発揮します。
ブラシよりも毛先が細くやわらく、そして長いため、凹凸のあるゴミストッカーの清掃に最適です。
シャワーで散水しながらゴミストッカーの隅々にたまった汚れをハケで流していきますが、水だけでは落としきれない汚れには、マジックリンなどのアルカリ性洗剤を交えながら洗浄していきます。
それでも汚れ落ちの効果が見込めないときは、カビが原因である場合もあります。
その際は、塩素系の台所用漂白洗剤を希釈塗布してカビを消滅させます。
(塩素系洗剤を使用した後は水で十分にすすいでください)。
ホースは内径15ミリのものが最適
ワンタッチハンドルと先端道具の組み合わせで床清掃に必要な作業のほとんどを行うことができます。
まず、基本である掃き掃除。自在ホウキで表面にたまった砂ぼこりや土砂を掃き集める作業。
次に水拭き。
水を含ませたモップで細かなチリ・ホコリを吸着させる作業。
水道栓には、ゴミ置き場でよく見る画像右のような立水栓の他に、エントランス付近の地中や植栽の中に埋め込まれている散水栓があります。
このような散水栓もやはり、画像右のように連結具を装着しておくことでホースの取り外しがワンタッチでできるようになり、効率アップを図れます。
使用するホースでおすすめするのは、内径が15ミリのもの。
これより内径が小さいものはコンパクトに収納するには便利ですが、実際に使用すると水量に物足りなさを感じます。
床にたまった土砂を洗い流す場合、ある程度の水量がないと時間ばかりがかかってしまいます。
なお、建物内を水で洗い流す際は、防水状態(特に床と壁の境い目)の確認も必要です。
防水施工がなされていない(弱い)屋内通路・階段や、経年で防水機能が劣化している建物には、水を使った清掃は控えておくのが無難です。
雨が多く掃き掃除も難しい梅雨のシーズン。
水洗いで効率アップ・仕上がりアップを目指してみてはいかがでしょうか。
ここがポイント
- 1.水道栓とホースは連結具でつなぎましょう
- 2.ゴミストッカーはハケで洗浄しましょう
- 3.ホースは収納性より内径を優先しましょう
5.第五歩 夏の大敵、雑草。装備を整え、除草剤とねじり鎌で対処する
第5回目の今回は『雑草の除草』についての清爽術をお伝えします。
炎天下の雑草取りはできるだけ手早く終わらせたいもの。薬剤を上手に使って効率をアップしましょう。
雑草の対処は早期のうちに
共用部清掃でよくご相談いただくことのひとつに、雑草の問題があります。
真夏の炎天下での除草作業はできるだけ短時間で終わらせたいものですが、そのために一役買ってくれるのが除草剤です。
除草剤には、顆粒(粉末)の粒剤と液体の液剤がありますが、使いやすさとコストパフォーマンスの点から、巡回清掃では液剤を主に使用しています。
粒剤は土に対して薬剤を撒きますが、液剤は草そのものに薬剤をかけます。
草が枯れるまで通常2~3週間を要しますが、ポイントは、雑草が小さいうちに枯らせてしまうこと。
小さいうちであれば、枯れてしまえば目立たなくなり、いずれ跡形なく自然に還ります。
画像右のように大きくなってしまった草を枯らせると、そのままでは見栄えがしませんから、結局は立ち枯れした草を手で抜き取っていかなければなりません。
選べる様々な除草剤
コストを抑えるのであれば、除草剤の原液を購入し、水で希釈して使用するようにします。
通常は100倍程度に希釈して使用しますが、その場合の除草剤のコストは、画像右のような「そのまますぐ使える」タイプのものに比べ、約25分の1に抑えることができます。
なお希釈した除草剤を散布する道具としては、ジョウロが手軽でおすすめです。
「除草剤は人や動物・ ペットに危害が及びそうで怖い」ということであれば、食品由来成分で作られた無農薬除草剤を選択するのもひとつです。
草を取るときは根からしっかり抜く
植栽や植木の周囲にある雑草に除草剤を使用すると花や木を枯れさせてしまう危険性があります。それゆえそのような場所は、手作業での除草となります。
草を取る際は、手間はかかりますが、できれば根からしっかり抜くようにします。引きちぎるように草をむしったり、刈り払ったりすると、残った根からまた草が伸びはじめます。
草取り道具として様々なものが販売されていますが、おすすめするのは「ねじり鎌」【画像右】です。
使い方は潮干狩りをするときの要領と同じです。
地面に鎌を立て奥から手前に引きます。根が強い草については、もう一方の手で草を引き上げながらねじり鎌で根を掘りおこすようにします。
広いスペースの草取りをする場合はそれなりに装備も必要です。
麦わら帽などをかぶり日差しから頭部を守るのはもちろんとして、蚊の襲撃に備えて画像右のようにネット付の日よけ帽をかぶるのもひとつです。
草の種類によっては肌に触れることで皮膚がかぶれてしまうことがありますので、腕カバーもしっかりつけます。
また長時間の作業に及ぶ場合は、膝あてをつけることで負担の軽減にもつながります。
長い時間の連続作業は避け、早朝や曇りがちのタイミングを狙って無理のない範囲でがんばりましょう。
ここがポイント
- 1.草が小さいうちに手を打ちましょう
- 2.ねじり鎌を使い根から除草しましょう
- 3.装備を整えしっかり身を守りましょう
6.第六歩 面倒な植木の手入れは電動工具でザクザク解決
第6回目の今回は電動工具を使った『植木の手入れ』方法について解説します。
放っておくと伸びてしまう枝も電動工具を使えば手軽に刈り込むことができ、見た目の良さにもつながります。
電動工具の使用で大幅な時間短縮に
清掃のついでに伸びた枝を切ってもらえますかというご相談をよくいただきますが、巡回清掃ではできるかぎりそのようなご要望にもお応えしております。
もちろん、専門の植木職人のようには刈れませんが、ある道具を使えば、簡単に生垣や植木の枝おろしができるようになります。
その道具とは、ヘッジトリマーという電動工具【画像右】です。
先端にはノコギリのようなギザギザの歯が2枚ついていて、互い違いに動くことで、枝を挟み切断します。
【画像下】はヘッジトリマーを使用してカットした植木の作業前後の写真です。
かかった時間はわずか10分。刈込バサミなどを使って手作業で行っていたとすれば、その数倍の時間がかかっていたはずです。
女性でも軽々。充電式が便利
ヘッジトリマーの使い方はけっして難しくありません。
掃除機のようにスイッチひとつで動かすことができます。
重量も2kg程度しかありませんので、女性でも十分使いこなせます。
カットするときのコツは下から上に向かって刈り込んでいくこと。
上部を水平に刈りそろえるには、タコ糸やロープなどを両サイドに張りわたし、目安とするのもひとつです。
刃先は刈込み方向に向けて少し下げ、ゆっくり動かしていくようにすると高さがそろいやすくなります。
写真①のヘッジトリマーは充電式のものですが、作業が長時間に及ぶのであれば、電気コード式のものを使うようにします。
充電式のものはコードがない分取り回しがラクでいいのですが、1回の充電で使用できる時間は30分程度。
あともう少し、というところで充電切れを起こすこともありますので、その点注意が必要です。
ブロアーを使えばさらに効率アップ
枝木を刈る作業で大変なのが、「刈る」ことよりも、刈り落とした枝木を集めることです。
その際は、ホウキよりも熊手があると便利ですが、おすすめなのが、画像右のような柄の部分が伸縮するコンパクトタイプの熊手。
伸縮させることで、先端の扇の幅を調節できるので、狭い場所での使用にも適します。
なお、切り落とした枝を集めるときの効率アップの手段として、ブロアーという電動工具を使用するのもひとつです【画像右】。
送り出す風の力でゴミや粉塵などを吹き飛ばす道具ですが、刈った枝木を集めるのにも能力を発揮します。
街路樹の剪定作業などで植木職人が使っているのをよく目にしますが、手ごろな価格帯のものが数多く発売されています。
業者が使用するのは混合ガソリンを燃料とするエンジン式のものが多いですが、これらは重量もあり、サイズも大きいものがほとんどです。共用部の外まわりで使用するには、電気コード式、もしくは充電式のものがおすすめです。
ブロアーの一部のものにはバキューム(吸引)機能を備えているものもあります【画像右】。
この機能があると、「集める」だけではなく、集めた落ち葉や枝を「吸い取る」こともできますので、使いようによっては大幅な時間短縮につながります。
機種により吸い取った落ち葉を10分の1程度にまで粉砕するものもありますので、さらなる効率アップが見込めます。
ここがポイント
- 1.剪定にはヘッジトリマーを使いましょう
- 2.伸縮式のコンパクト熊手を活用しましょう
- 3.ブロア―で効率アップを目指しましょう
7.第七歩 腰袋は携帯する道具箱。装着するだけで時間のロスを大幅カット
第七回目の今回は道具を入れる『腰袋』について考えます。
清掃時間を短縮するにはムダな動きを削っていくことが大切です。必要な道具は腰袋を活用して「身につけて」しまいましょう。
必要な道具は身に着けるのが一番
共用部清掃の時間短縮・効率アップに間接的に(ですが確実に)貢献するおすすめツールがあります。それはズバリ、「腰袋」です。
アパート・マンションの共用部清掃にはいくつかの道具が必要ですが、清掃中にそれらを物置や車までいちいち取りにいくとなれば、大幅な時間のロスにつながります。
「ものを取りにいき、戻ってくる」という非生産的なムダ時間はできるかぎりなくしたいもの。そのために一番いい方法は、必要な道具は「身に着けてしまう」ことです。
巡回清掃で主に使用するのは次のような道具類です【画像右】。
- ・帯電ダスター
- ・水拭きの雑巾
- ・から拭きの雑巾
- ・小ホウキ
- ・スクレイパー(ガム等の除去に使用)
- ・一枚刃(ガラス清掃に使用)
- ・マイナスドライバー
- ・プラスドライバー
- ・水栓ハンドル
- ・蛇口アタッチメント(ホースの接続に使用)
- ・使い捨て手袋
十数点あるこれらの道具ですが、腰袋に収めると画像右のようになります。
「工具差し」をつけてさらに効率アップ
画像右の腰袋は個別に市販されているものを一本のベルトに組み合わせたものです。
ポケット付きの道具袋にほとんどの道具・工具を収めています。
強くおすすめしたいのが、両サイドにある「工具差し」です。
この工具差しは、通常は塗装職人がコテを、大工職人がハンマーなどを入れるのに使用しますが、清掃の現場でもこれが活躍します。
工具差しには、通常は使用頻度の高い帯電ダスターを差しておきますが、このほかにも、画像右のように、ブラシ、スプレーボトル、スクイジーといった様々な清掃道具を収めることができます。
淵の一部にⅤ字型の切り込みが入っているのが特徴で、これがあることで差した道具が落下することなくしっかり収まります。
エプロン+チョークバックの組み合わせも
腰袋が重い、装着すると動きにくい、ということであれば、「エプロン+工具差し+チョークバック」の組み合わせにするのもひとつです。
(女性におすすめです)。画像右では、腰巻のエプロンを付け、その巻ヒモに工具差しとチョークバックを通しています。
清掃には水拭きの雑巾が必須となりますが、これはエプロンではなく防水性の高いチョークバックに入れるようにします。
腰袋は、使い勝手や使用する道具に合わせて、自由に、自分好みにカスタマイズすることをおすすめします。なお、次のようなものも、腰袋に備えておくと効率アップに貢献してくれます。
◎洗濯バサミ+ゴミ袋
可燃、不燃、資源ゴミ等々、建物のまわりには様々なゴミが落ちています。
レジ袋サイズのゴミ袋を洗濯バサミでいくつか腰袋にとめておき、可燃ゴミ以外のゴミをこの袋に分け入れるようにします。
◎霧吹き(水スプレー)
鳥のフンなど固形化して簡単に取れない汚れは、水を吹きかけしばらく放置するのがコツ。
固まり(汚れ)が水で分解されたところを拭き取れば、手間も時間もかかりません。
◎ナイロンたわし(不織布)
調理道具のコゲや油汚れを落とすのによく使われるナイロンたわしですが、通路に多い靴のすり跡(ヒールマーク)などの部分汚れを落とすのにも効果を発揮します。
ここがポイント
- 1.腰袋を活用し動きのムダをなくしましょう
- 2.「工具差し」で効率アップを図りましょう
- 3.使い勝手に合わせカスタマイズしましょう
8.第八歩 順番を定めるだけで効率UP。3つのルールでムラ・ムダをなくす
第八回目の今回は『清掃の流れ』について解説します。
清掃の際は一定の進め方を決めておくことでムダな動きが減り時短につながります。
共用部のような広いスペースを掃除する際は「順番」がなによりも大切です。
共用部清掃の基本は「上→中→下」
家の中の掃除に比べ清掃範囲が圧倒的に広いアパート・マンションの共用部。
どのような流れで清掃を進めるかで、作業時間・作業負担は大きくかわってきます。
共用部清掃はどのように進めれば効率よくキレイにできるのでしょうか?
基本ルールは3つです。
- ①「上→中→下」の順番で清掃する。
- ②時計回りで清掃する。
- ③汚れている場所から清掃する。
①から順にご説明いたします。
ホコリもゴミも重力に従って上から下に落下していきます。
それゆえ、掃除の基本は「上から下へ」が鉄則。
共用部清掃も同様で、目につくところから清掃をはじめていってしまうと、床を掃き終わった後に天上のクモの巣を見つけ、「何度も何度も床を掃き直す」という事態になりかねません。
共用部清掃の場合、「上→中→下」の3段階で清掃を進めていくことで、掃除のムダ・ムラがなくなります。
例えば、通路を清掃する場合は次の順番で進めていきます。
①【上の箇所】天上のクモの巣を払う→②【中の箇所】ドアまわりや手すり・笠木のホコリ払い・拭き掃除をする→③【下の箇所】床の掃き掃除をする。
時計回りで清掃し、「やり残し」を防ぐ
共用部のような広いスペースを清掃する際によくやってしまう失敗のひとつが、「やり残し」です。これを防ぐのにいい方法が、ルール②の「時計回りで清掃する」です。
清掃する空間に対して壁づたいに時計回りで清掃する、というルールに基づいて掃除を進めていけば、漫然と掃除を進めていく場合に比べ、やり残しが出る確率が低くなります。
例えば通路を清掃する場合、手すり壁側からスタートし突き当りまで行ったら反対の各戸ドア側の掃除をしながら戻ってくるというように、清掃の流れ・順番を一方向に定めるようにします【写真右】。
そうすることで、不足、やり残しのない全体に行きわたった清掃を行うことができます。
外まわりの清掃も同じで、駐車場や駐輪場のスペースが広くとられていたとしても、
「時計回りで清掃する」と決めておくことでムラなく清掃を進めることができます。
汚れている箇所から清掃する
共用部清掃の範囲を大きく3つに分けると次のようになります。
エントランス部、通路・階段部、外まわり(ゴミ置き場を含む敷地内)。
では、どこから清掃すればいいでしょうか?
先に挙げたルール①に従えば、「高いところ」にあたる建物の最上階から下に降りていき、エントランス、外まわりの順番で清掃することになります。
ですが共用部清掃の場合、すべての箇所がいつも同じ程度で汚れているとは限りません。季節によってもその程度は変わります。
例えば、春は黄砂や花粉で通路がいつもに増して汚れます。夏はゴミ置き場にニオイが発生し、秋になれば、吹き込んだ大量の落ち葉に悩まされることもあります。
清掃にかけられる時間は限られているはずですから、「どこから清掃するか」「どこに重点を置くか(時間をかけるか)」については、作業前にエントランス、通路・階段、外まわりのそれぞれの状態をまず確認し、汚れている場所から進めていくことが効率アップにつながります。
ここがポイント
- 1.上→中→下の順番で清掃しましょう
- 2.時計回りで行い清掃のやり残しを防ぎましょう
- 3.全体を確認し、汚れた場所から清掃しましょう
9.第九歩 最近よく目にする高圧洗浄機 共用部清掃でどのように生かせるか
第9回目の今回は高圧洗浄機を使った掃除方法を解説します。
使い方によっては驚きの効果を発揮する高圧洗浄機。そのポイントとは…。
凹凸のある床や壁の洗浄に効果を発揮
テレビCMや通信販売で最近よく目にする高圧洗浄機。
「購入したけれどうまく使えない」「物置で眠ったままになっている」というオーナー様のご相談を時々いただきます。
そもそも共用部清掃に高圧洗浄機は役に立つものなのでしょうか?
その答えは、もちろんイエスです。
我々清掃会社が使用するのは業務用の高圧洗浄機ですが、一般ユーザー向けに販売されている高圧洗浄機でも効率アップ、仕上がりアップに十分貢献してくれます。
では高圧洗浄機は、共用部のどの部分の清掃に役立つのでしょう。
主には次の3つです。
- ①すべり止め加工がされている凹凸のある床面や排水溝(口)の清掃
- ②凹凸のある壁面や手すり壁の雨だれの清掃
- ③ゴミ置き場や駐輪場などコケが生えやすいコンクリート床の清掃
つまり、デコボコしていて汚れがたまりやすく、それでいて汚れを除去しにくい場所の清掃に、高圧洗浄機が活躍します。
汚れを浮かして洗浄すればさらに効率的
高圧洗浄機を使って清掃した階段と手すり壁の作業前後の写真です。
くぼみにたまった土砂汚れがスッキリ落ちているのがわかります。
これを高圧洗浄以外の方法で清掃しようとするとかなりの労力と時間がかかりますが、高圧洗浄機であれば、ジェット噴射の力で簡単に、短時間で汚れを落とすことができます。
高圧洗浄機は機械をセッティングするのに多少の時間を要しますが、使い方はけっして難しくありません。
慣れないうちは飛び散った汚れで周囲が泥まみれになることもありますが、コツをつかむまでにそれほど時間はかかりません。
洗浄時のポイントは、洗浄の対象となる範囲をまず水で湿らせること。
食器を洗うときもそうですが、水につけておくことで固まった汚れがふやけ、洗い流しの手間が軽減されます。
洗浄する範囲をいくつかに区切り、水をまき、汚れが浮きあがったところで洗浄する、というのが効率的な流れです。
延長高圧ホースを接続すると便利
洗浄力の程度を示すものとして、水圧と水量の2つがありますが、それぞれの数値が高いほど洗浄効果がアップします。
洗浄時に注意する点としては、一定の時間を超えて運転し続けないこと。
通常は連続作業可能時間が1時間程度となっていますが、これを無視して使い続けるとポンプに負荷がかかり機械の寿命を縮めてしまいます。
そしてもうひとつ大切な点として、高圧ホースの長さを考慮する必要があります。
写真右の高圧洗浄機は標準で10mの高圧ホースがついています。
本体より10mの範囲が洗浄可能領域となりますが、共用部のような広いスペースを洗浄する場合は、10mの延長ホース(別売)を接続し、全長20mにすることをおすすめします。
洗浄時は周囲に水が飛散しますので、必要に応じてブルーシートなどで養生をします。
おすすめするのは、雨の日を選んで高圧洗浄を行うこと。
水の飛び散りに気をもまなくて済みますし、汚れが雨で浮いていますので洗浄時間も短縮できます。
ここがポイント
- 1.凹凸のある場所は高圧洗浄を行いましょう
- 2.洗浄は汚れを浮かしてから行いましょう
- 3.延長高圧ホースを接続し洗浄可能領域を広げましょう
10.第十歩 あれば便利な洗剤 落ちなかった汚れは洗剤でこう落とす
通常共用部の掃除に洗剤は使いません。ですが、ときには洗剤がないと落ちない汚れも。十回目の今回は、あれば便利な洗剤をご紹介します。
「共用部清掃に使う洗剤は何がいいですか」と聞かれますが、原則として、共用部の掃除には洗剤を使用しません。
共用部の汚れは、主には外から吹き込んでくる土砂が原因。これらの自然汚れは、汚れた状態を放置しなければ、水拭きで対処できます。
床の清掃でよくないのは、強い洗剤を使用してブラシがけやモップがけをした後に、その洗剤成分を残してしまうこと。
残留した洗剤成分が汚れを抱き込んでしまい汚染を広げてしまいます。洗剤を使うときの原則は「しっかりすすぎ洗いをすること」です。
ステンレスには専用クリーナーが効果大
もちろん、洗剤がなければ除去できない種類の汚れもあります。
よく相談をいただくのは、エレベーターの表示版などステンレス部分についた手アカの除去の仕方です。
ガラスについた手アカであれば水拭きで取れますが、ステンレスの場合は簡単にはいきません。
おすすめするのは、【写真右―A】のステングロス(発売元:シーバイエス)です。主な成分はパラフィンオイルで、スプレーするとムース状のクリーナーが出ます。
ポイントは量を出しすぎないこと。少量のクリーナーをタオルなどの乾いた布につけ、ステンレスに薄く塗り広げるようにします。
エレベーターの表示版の他にも集合ポストやオートロックの表示版、ガラスサッシ部など、ステンレスが使われているところがアパートやマンションには各所にあります。
また部屋の中のシンクのツヤ出しにも使えますので、一本あると重宝する洗剤です。
ガンコなサビも専用洗剤でサッとひと拭き
共用部の清掃をしていると【写真左下】のようなサビの跡をみつけることがあります。
その多くは自転車のキックスタンドが原因です。鉄製のスタンドが錆び、それが床のタイルにうつります。
サビはこすったりしても簡単には除去できないのですが、専用のサビ取り剤を使用するとサッと落とすことができます。おすすめは中性で安全性の高いブリーチング・スピリッツ・ペースト(発売元:ビアンコジャパン)です【写真上―B】。
使い方は簡単でペースト状の液体をサビに塗るだけ。
5分から20分ほど放置しておくとサビが分解され紫色に変色しますので、これを雑巾で拭き取ります。
サビ取り剤もひとつあると部屋の中のクリーニングにも役立ちます。
ユニットバスなどにヘアピンからうつったサビの跡を見つけることがありますが、このようなものにも効果を発揮します。
部分汚れを落とす洗剤として最後におすすめしたいのが、シトラスフォームクリーナー(発売元:スリーエムジャパン)【写真上―C】です。
らくがき落とし、ガラス・壁面などについたテープ跡の除去【写真下】、床に固着したガムの除去などに役立ちます。
また油汚れを落とす力もありますので、排気口からたれる油汚れにも有効です。一本で何役もこなしますので、必ず揃えておきたい洗剤です。
今回ご紹介した洗剤ですが、いずれもネット通販で簡単に購入できます。 洗剤を使うときは、必ず使用方法と使用上の注意を確認しましょう。使い方を間違うと素材を傷め、修復できなくなる場合があります。
ここがポイント
- 1.落ちる汚れは水拭きで対処しましょう
- 2.専用洗剤で効率よく汚れを落としましょう
- 3.「使用上の注意」は必ず確認しましょう
11.第十一歩 エントランスは建物の顔 キレイに磨き爽やかな状態で皆を迎えましょう
11回目の今回は、エントランスの掃除について解説します。ガラス清掃の基本は拭き掃除。
難しくありませんがちょっとしたコツが。厄介なテープ跡の除去方法もお教えします。
アパート・マンションにとって玄関口であるエントランスは、建物の「顔」にあたります。
内見の際も一番はじめに目につくところですので常にキレイにしておきたいもの。
共用部の汚れは、主には外から吹き込んでくる土砂が原因。これらの自然汚れは、汚れた状態を放置しなければ、水拭きで対処できます。
エントランスで時々目につくのが、ガラスに残ったテープ跡です。
掲示物を貼るのに使ったテープがはがされずにそのままになっている様子を目にします。
このようなテープ跡を取り除くのに便利な道具が【写真右】のガラススクレイパーです。使い方は簡単で、カミソリの刃先でテープをこそぎ落とすようにはがしていきます。
テープについていた粘着剤がガラス面に残ってしまう場合がありますが、これは専用洗剤で除去します。
シトラスフォームクリーナー(発売元:スリーエムジャパン)を対象に吹きかけしばらくそのままにしておくと、粘着剤が分解され手間なく除去できます。
なお、集合ポストにも粘着剤の跡を見ることがありますが、ステンレス製のものにガラススクレイパーをあてるとすぐキズが入りますので、これにはプラスチック製のスクレイパーを使用します。(使わなくなったカードなどでも代用できます【写真右】)。
ガラス清掃の基本は水拭きから拭き
ガラスをキレイに拭き上げるにはどのような方法がよいでしょうか?
新聞紙を使うといった裏技的な方法もあるかもしれませんが、やはり基本は「水拭きとから拭き」です。
共用部のガラスについた汚れは主には砂ボコリなどの自然汚れ。通常であれば洗剤を使わずとも水拭きで落ちる汚れです。
水拭きのコツは「雑巾はこまめに洗いながら使用する」ことです。
汚れた雑巾を使い続けると汚れが拡散し拭きムラが残ります。ガラスを拭いてもなかなかキレイに仕上がらない、といった多くの原因はここにあります。
ガラスの汚れが重度の場合は、水拭きの雑巾を2枚用意します。
1枚は拭き取り用、もう1枚を仕上げ用とし、拭き取り用の雑巾でガラス表面にたまった砂ボコリを取り除いた後に、仕上げ用の雑巾でもう一度しっかり拭き上げます。
水拭きには汚れをかき取る力に優れるマイクロファイバー素材のタオルを使用します。
から拭きには毛残りしにくいガラス専用雑巾(スコッチブライト 高機能ワイピングクロス〈発売元:スリーエムジャパン〉がおすすめ)を使用すると仕上がりに差がつきます。
ガラスまわりの汚れでその他によく相談を受けるのが、ガラスとサッシの間に充填されているシリコン部分の汚れです。
これにはクリームクレンザーが効果を発揮します。
水拭きの雑巾にクリームクレンザーをつけシリコン部分をこすると簡単に汚れを取り除くことができます【写真右】。
ハンディークリーナーも効率アップに有効
自動ドアがあるエントランスで注意して清掃しておきたいのが、ドアレールです。溝になっているレールに土砂や虫の死がいがたまります。
ガラスサッシ用の小ホウキで掃き出すのもひとつですが、あると便利なのがハンディークリーナーです。
おすすめは「マキタ14・4ボルト充電式クリーナ(CL141FD)」【写真右】です。業務用としてよく使われている機種で吸引力がありますので、砂ボコリや土砂もしっかり吸い取ります。
ハンディークリーナーは自動ドアレール以外にもエレベータードアレールの溝や通路・排水溝の清掃にも使えますので、ひとつあると重宝します。
ここがポイント
- 1.テープ跡もしっかり除去しましょう
- 2.雑巾はこまめに洗って使用しましょう
- 3.ハンディークリーナーを活用しましょう
12.最後の一歩(第十二歩)早期発見がダメージを最小にとどめる 掃除をするからこそ気づく建物の異常
様々な人が暮らす共同住宅。なかには困った人の存在も。
掃除をすることのメリットは同時に建物点検も行えること。最終回の今回は共用部の異常点検について考えます。
定期的に清掃することのメリットのひとつが異常状態の早期発見です。
建物や設備に問題が起こっているのだとすればその解決は早いに越したことはありません。
私どもが行う共用部清掃では、建物各部の汚れ状態をひとつひとつ確認・清掃しますので、異常や不具合があればすぐに気がつきます。
清掃に点検を加え、トラブルを未然に防止
よく発見する異常や問題、不具合は次のようなものです。
- ・粗大ゴミ、放置物、マナー違反
- ・いたずら、破壊
- ・自然破損、経年劣化
落書きのようなものであれば目視ですぐ確認できますが、なかには気をつけなければ見過ごしてしまういたずらや破壊行為があります。
【粗大ゴミ、放置物、マナー違反】
これらについては、建物そのものに影響を与えるものではありませんが、対処しないままにしておくことで周囲に迷惑や被害が及びます。
【写真右】は共用通路の手すり壁に置かれていたカップラーメンの食べ残しを撮影したもの。
週に1回のペースで定期的に訪問・清掃しているため、この状態で長い間放置され続けることはありませんでした。
ですが他の居住者にとっては、この光景を目にする毎日は不快な日々だったに違いありません。
【いたずら、破壊】
落書きのようなものであれば目視ですぐ確認できますが、なかには気をつけなければ見過ごしてしまういたずらや破壊行為があります。
【写真右】はエントランスのドアについているドアクローザーを撮影したもの。
本来であればドア枠に取り付いているはずのアームが外れていました。故障かと思いましたがよく見るとネジが4本外されています。
誰かの手によって外されたのは明らか。
そのままにしておけばドアの開閉に支障が出るばかりか、勢いよく閉まるドアの音で近隣にも迷惑が及びかねません。
【自然破損、経年劣化】
建物や設備の老朽化にともなうものですが、放置しておくことで思わぬ事故を招く場合もありますので注意が必要です。
【写真右】はエントランスのタイル床にとりつけられた鉄製の滑り止めです。
タイルから外れてしまい一部が浮き上がっています。そのままにしておけばこれにつまずく人が出るかもしれません。
また転んだ拍子に、浮き上がった滑り止めの角で衣服や体を切るなどしてしまっては大変です。
確認するポイントは大きく4つ
自建物の異常点検個所のポイントは大きく4つです。
- ・エントランス
- ・通路および階段
- ・外まわり
- ・建物外観
エントランス、通路・階段については目線よりも上の部分にも注意を向ける必要があります。
多いのは照明器具の破損やタイルの欠落です。【写真右】
外まわりについては放置物が置かれていないか、植木があればそれらが敷地を飛び越えて伸びていないかなどの確認も必要です。
チェックを忘れがちなのが建物の外観ですが、多いのが雨どいの不具合【写真右】や落下です。
建物の異常、不具合、居住者のマナー違反に「気づかない」「対処しない」といったことで、ケガにつながる事故、近隣からのクレーム等々、様々なトラブルに発展してしまうことがあります。
共用部の清掃に「点検」というもう一つの目的を加え、トラブルを未然に防ぎ、暮らしやすい住環境を守りましょう。
ここがポイント
- 1.清掃をしながら異常点検も実施しましょう
- 2.目線の上、外観も欠かさず確認しましょう
- 3.異常や不具合にはすぐに対処しましょう